9月の気になる文庫たち

・朝日文庫 『柳生薔薇剣』荒山徹 ・岩波現代文庫 『明治精神史(上)』色山大吉 『「女縁」を生きた女たち』上野千鶴子 ・岩波文庫 『フランク・オコナー短編集』フランク・オコナー 阿部公彦 ・ホラー文庫 『闇の守護者 ロスト・ゾーン』樋口明雄 『禍記』…

ねこの回転 くるくるにゃー

誕生日だからこんな日にでかけたらきっとなにか良いことがあるに違いないと古本屋めぐり。先日いった「エクス・ポナイトvol.2」で知った面白そうな古本屋をめざして電車をのりつぐ。そう、「エクス・ポナイトvol.2」はやはり古川日出男のライブ(?)が圧巻…

時代小説専門雑誌『KENZAN!』最新号の目次に藤本泉の名を見て驚愕する。生きていたのかと驚き、著者紹介を見るも、やはり消息不明のままのよう。してみると未発表の原稿でも発見されたのだろうか。いや、しかし本当に驚いた。驚いたといえばアンナ・カヴァン『氷』やマイクル・コーニイ『ハローサマー・グッドバイ』が新刊書店の棚にあったりして南無三宝。

体力が落ちたなと思う瞬間が最近は多々あって、それはたとえば長距離バスで以前なら五時間や六時間の移動なんて平気の平左が、あらいやだ、二、三時間もするともう顔といわず首筋といわず、からだじゅう脂でにとにととしてきて、澱のように沈む疲労にやがて…

お前は断言する、存在とは休息である、運動の中の休息であると。F.カフカ

6月7日、リチャード・ブローティガン『東京日記―リチャード・ブローティガン詩集』購入。帰りの電車で読んでいたら、それが1976年の5月から6月にかけて日本に滞在していたブローティガンが書いた詩だということにおそまきながら気がついたのは、「東京から高…

産むあてのない娘の名まで決めている 狂いはじめは覚えておこう*1(林あまり)

本を読んでいたら、友人からなんというかとても公共の場では口にだせないような、PCに抵触する五秒前なことを言い放ったメールがきたのでせいいっぱい侮蔑の返信をする。 件名:いや、君 本文:人として最低。 すぐに返信がくる。 件名:まあ、 本文:常識的に考…

何者か我に命じぬ割り切れぬ数を無限に割りつゞけよと(中島敦)

青山ブックセンターに川上未映子と市川真人(前田塁)のトークショーをみにいく。生で川上未映子の話しを聞くのは初めてなんだけど、なんだろう、凄い、この人本物だ。なんの本物だろう。呪われている。コトバに強く呪われている。なにか、ふっ、とでてきた…

目黒が、マグロと聞こえてマグロのサンマとはこれ如何に烏賊にあらずで怖い蟹、もうなにがなんだか、けふはわたしのたましひは疾んでをりますので烏さへ正視できないのです。

パソコンの文章データを整理していたら、数年前に屋久島へいったときの日記が見つかる。読んでいるうちに色々と思いだし懐かしくなりすぎて頭をかかえる。夏だった。とても暑かった。大垣夜行にのるため18時頃から品川駅のホームで延々電車を待ち、満員の電…

「それはつまり『終わりなき思春期を生きろ』ということですね!」「いや、ぜんぜん違う」

「考える人」2008年春号 特集海外の長編小説ベスト100を読んでいたら「私の海外小説ベスト10」というアンケートがあり、それに触発され自分の海外小説ベスト10を考えてみるが思えばまともに海外小説、というか翻訳ものにちゃんと触れるようになったのは20歳…

秋葉原にラビができたらラビ・アキバ。ユダヤ人もびっくり。

最近夜寝る前、布団に入り読みたいものを読んでいる最中眠気がきざしそろそろ眠ろうかと本を閉じるのだけど、なんとなく眠りにも落ちられずかといってさっきまで読んでいた本に戻るのも億劫な時、E.M.シオラン 出口裕弘訳『生誕の災厄』を読んでいる。なので…

角砂糖角(かど)ほろほろに悲しき日窓硝子唾(つ)もて濡らせしはいつ(山尾悠子)

ひょんな事からここ数年探していた歌集を手に入れる。山尾悠子『角砂糖の日』(深夜叢書社)。狂喜する。 山尾悠子に一冊だけ歌集があるという話をなにで知ったのか記憶も定かではなく、それを知った時も彼女の小説は好きで好きでそれはもう好きで国書の『山尾…

新旧こもごも

本屋で中村明日美子『同級生』と岡崎京子『東方見聞録』を購入。 男子校の合唱祭にむけての練習中、草壁はとなりの生徒が歌っていないことに気づく。少年の名は佐条利人。学年でも頭が良くて有名な生徒。教室に忘れ物をとりに戻った草壁は、佐条が一人で歌の…

やはりやすみは必要だ

最近ネットで知ったお店をさがしに神保町をぶらぶらと。しかしながらまったくのうろ覚えでいったため全然みつからず、細い路地を行きつ戻りつする。 ようやくそれらしいお店を発見するも、見かけがとても怪しい。ネット上で、怪しい見かけと書いている文章を…

やすみがなくなる

注文していた永田紅『歌集 ぼんやりしているうちに』がようやっと入荷したというのでいそいそと購入する。 配本がなかったのか知らないけれど、見てまわった範囲内でジュンク堂やその他、大阪屋を使っている書店には全然なく*1。注文したあとで日販系の書店…

わが名はタフガイル ソニックブーム! ソニックブーム!

何の気なしに来月の文庫の新刊をながめていると、光文社に次のタイトルを認め、口に含んだ茶を吹きだしそうになりおもいきりむせる。近くにいた人に怪訝な顔をされる。 「どうしたんですか?」 「いや、ちょっとびっくりして」・光文社文庫 カンタン刑 式貴…

なんだか人がいろいろいっぱいいすぎて酔う

気づくと今月はもうなんというか本当に色々とすばらしいマンガがでるわでるわでうれしい事このうえなく、思いだしながらなので順不同のなか劈頭を飾るは沙村広明『ブラッドハーレーの馬車』の救いようのない物語にがつんとやられ、偶然にもその物語を反転さ…

あたらしき墓立つは家建つよりもはれやかにわがこころの夏至(塚本邦雄)

先輩からおすすめをいろいろと借り入れ、読む。中でも永田紅『日輪 永田紅歌集』(砂子屋書房)に心震える。 ねこじゃらしに光は重い 君といたすべての場面を再現できるああ君が遠いよ月夜 下敷きを挟んだままのノート硬くて君の手の触れゆく道のほうきぐさか…

道をまっすぐまっすぐだけ歩きたくて歩いていてもすぐ行き止まり 

書店をのぞいていると、河出の新刊のところに国枝史郎『神州纐纈城』を見つけ驚嘆する。まさかこれが復刊するとは。唐突といえば唐突なこの復刊に棚の前で思わず「うお!」と小さく叫んでしまう。恥ずかしかった。ここ数年、未知谷とか作品社のおかげで国枝…

・最近考えたこと。 芝居を観るために原宿にでむく。普段はほとんど利用しない駅なので、見るものすべてがめずらしい。とりあえずロリータ衣装の女の子がやたらにいて眼福。ゴスロリの子もいっぱい見た。改札をでて、線路に沿って新宿方面へ歩く。都会の真ん…

最近の奇遇

布団にうつ伏せになって山口雅也『奇遇』(講談社)を読む。首が凝ってきたので体勢を変えようと身動ぎした瞬間、積み上げていた本に肘がぶつかる。地響きを立てながら本が崩れる。落ちてきた本が頭に当たる。痛い。呆然とするも、残り数頁だしと崩れた本をざ…

万国の柳生よ団結せよ! あるいは柳生、吠えないのか?

友人(id:fuldagap)が非常に素晴らしく阿呆な発想をした上に素晴らしいコメントが付いたので、我も推参せんと文を編む。できたものを友人のブログのコメント欄に書き込もうと思うも、その前に一応と眼を通してもらったところ「それは一般に荒しといわれる行為…

感慨深いなぁ……。

http://www.asahisonorama.co.jp/hp/whatsnew/readers.html 朝日ソノラマが店じまいするという話を友人からのメールで知る。 「朝日ソノラマ営業停止だと」 「ラノベを牽引してきたソノラマも終わりですか。時代なんですかねー」 老兵は、か。 版権自体は朝…

孤独な不能者の夢精 

やたらに湿度が高い中、近場で開かれている古本市に出向く。三時間程行きつ戻りつを繰り返し、以下のものを購入。 ・魯迅『吶喊』(中公文庫) 高橋和巳訳のやつ。内田樹『街場の中国論』(ミシマ社)を読んだら、何だか魯迅が読みたくなったのだけど部屋に見つ…

寒中の悪魔―あるいは酷い悪寒

就寝前に吉田健一『日本に就て』(筑摩書房)を読んでいると「小休止」という小文に出会う。評判の店の御馳走を前に道草をして、他の店で食事をする、というだけの話し。それだけの話しなのだけど面白い。 期待だったり心急くようなところに緩みを与えて、引き…

というわけで

夢にでてきたものがあまりにも美味そうだったので帰宅後、青椒肉絲をつくる。夢に見たものには及ばないが、それなりのものはつくれた。御飯を三膳食べる。こうして人は肥えてゆくのか。ゆくのだ。嗚呼。これも夢ならよいのに。

こんな夢を見た。

小雨の中、路地の奥にある帽子屋に母と二人で入った。細長い店内の壁には一面、おなじ帽子がかけてある。台の上にもおなじ帽子がきれいに並べられている。奥にはカウンターがある。そのなかでは店主の奥さんが大きな中華鍋をふっている。店主夫妻は中国人で…

書店で20歳前後と思しき青年が二人、棚の前で話しているのを見る。「やっぱりドサドだよドサド」「ふーん。ドサドか覚えておくよ」 どうやらマルキ・ド・サドのことらしい。世界は広い。

小竹向原で知人と観劇。青年団を母体とする新ユニット サンプルの第一回公演『シフト』http://www.seinendan.org/jpn/infolinks/infolinks061228.html 作・演出をつとめる松井周の舞台は以前、同じ場所で公演された文学座+青年団自主企画交流シリーズ第一弾…

アブドル・ダムラル・オムニス・ノムニス・ベルエス・ホリマク・我とともに来たり・我とともに滅ぶべし

終電に乗り損ね、まことに不本意ながら徹夜をするはめになる。本当なら今頃は布団に包まり寝ているはずなのに、と思いながらマンガ喫茶で一夜を明かす。五時間パック1100円。せっかくだからと数年ぶりに手塚治虫『三つ目がとおる』を全巻読む。今回読んだの…

昼も短し布団が干せない

電話のたびに部屋が寒いとこぼしていたら実家の母が丹前を送ってくれる。さっそく着込む。もこもこに着膨れた姿で、何故かダンボールに一緒に入っていた番茶もいれてパソコンに向かう。とても温かい。いくつになっても母とはありがたいものであります。なむ…

吹きすさぶ風邪に体衰弱 

久しぶりに近所のブクオフへゆくとけっこう欲しいものがあったりして嬉しくなるのだけど、この間はエリアーデ『ホーニヒベルガー博士の秘密』(福武文庫)、宮本常一『日本の村・海をひらいた人々』(ちくま文庫)、平出鏗二郎『東京風俗志 上・下』(ちくま文庫)…

最近、面白かった本

入江亜季『コダマの谷 王立大学騒乱劇』(エンターブレイン) ヨーロッパの城塞都市を思わせる街を舞台にした学園モノで、飄々とした天才(メガネ)、クールな秀才、王子、その妃候補となる気の強い娘(ただしブラコン)、メガネに恋心を抱く少年のような女の子…