2008-01-01から1年間の記事一覧

飲み屋にたなびく「樽生名人のいる店!」という幟が「柳生名人のいる店!」と見えた冬の昼下がり。

何故なのかと彼の考えを聞いて全員が賛同する訳がないんだ しかし 中には聞いておきながら自分が納得しないと怒ったり否定したりする愚者がいる 人に説明を求めて解答が常に得られると思っている蒙昧な者も多い (中略) 知る事が全ての人に幸せをもたらすと…

やたらと腹回りがゆるく感じられ、穿いたパンツがずり落ちてくるのを、あらわたし痩せたのかしらと思いきやベルトをつけ忘れていただけだったと気づいた瞬間の悲しみを何に喩えよう。

最近はなんだか日付の感覚がおかしくなり、月日の流れがやたらに早く感じると思ったら実際には2、3日しかたっていなかったり、そうかと思えばあっという間に一週間ならばともかく一月近くも経っていたりしていてこれは何ぞと驚いたりと、これはあれか、何…

駅前で「俺は歯の欠けた歯車なんだ!」と絶叫している若者がいた。なんだかわからないけど頑張れと思った。

最近、古川日出男『聖家族』(集英社)、保坂和志『小説、世界の奏でる音楽』(新潮社)、中井久夫『アリアドネからの糸』(みすず書房)、アルベール・カミュ『カリギュラ』*1(ハヤカワ演劇文庫)を併読していたら何がなにやらことばが色々と入り混じりえらいこと…

一般に旬は秋だといわれるが冬に喰ってもカボチャはうまい

『リバーズ・エッジ』の終盤に「この街は悪疫のときにあって」ではじまる、とても、とても素敵な詩がある。作者はウィリアム・ギブスン。そうあのサイバーでパンクなSF作家のウィリアム・ギブスン。『リバーズ・エッジ』を読むまで、彼が詩を書いていたと知…

嘘のような話

ヒヨコ舎編『本棚』の2巻がでていた。帯に「cocco」とみえて、少し驚く。寡聞にしてあの「cocco」がこの本にのるほどの本好きだということを知らず、でもあの歌詞をつくる感覚というか能力を思えば本好きであってもなんの不思議もなく、知らなかったのはこち…

おれはさあフランスママのアイディアは数千年古いと思うな あたしはちがうあたしは数千年未来のアイディアだと思ったわ

品川をでた瞬間から嫌な予感がしていた、とはいわないけれど予定では名古屋まではたどりつけるはずが岡崎で終電がなくなり、そういえば右も左もわからない町を夜の11時過ぎに歩き回るというのは中々に心許ないものだったな、ということを思いださせてくれた…

9月の気になる文庫たち

・朝日文庫 『柳生薔薇剣』荒山徹 ・岩波現代文庫 『明治精神史(上)』色山大吉 『「女縁」を生きた女たち』上野千鶴子 ・岩波文庫 『フランク・オコナー短編集』フランク・オコナー 阿部公彦 ・ホラー文庫 『闇の守護者 ロスト・ゾーン』樋口明雄 『禍記』…

ねこの回転 くるくるにゃー

誕生日だからこんな日にでかけたらきっとなにか良いことがあるに違いないと古本屋めぐり。先日いった「エクス・ポナイトvol.2」で知った面白そうな古本屋をめざして電車をのりつぐ。そう、「エクス・ポナイトvol.2」はやはり古川日出男のライブ(?)が圧巻…

時代小説専門雑誌『KENZAN!』最新号の目次に藤本泉の名を見て驚愕する。生きていたのかと驚き、著者紹介を見るも、やはり消息不明のままのよう。してみると未発表の原稿でも発見されたのだろうか。いや、しかし本当に驚いた。驚いたといえばアンナ・カヴァン『氷』やマイクル・コーニイ『ハローサマー・グッドバイ』が新刊書店の棚にあったりして南無三宝。

体力が落ちたなと思う瞬間が最近は多々あって、それはたとえば長距離バスで以前なら五時間や六時間の移動なんて平気の平左が、あらいやだ、二、三時間もするともう顔といわず首筋といわず、からだじゅう脂でにとにととしてきて、澱のように沈む疲労にやがて…

お前は断言する、存在とは休息である、運動の中の休息であると。F.カフカ

6月7日、リチャード・ブローティガン『東京日記―リチャード・ブローティガン詩集』購入。帰りの電車で読んでいたら、それが1976年の5月から6月にかけて日本に滞在していたブローティガンが書いた詩だということにおそまきながら気がついたのは、「東京から高…

産むあてのない娘の名まで決めている 狂いはじめは覚えておこう*1(林あまり)

本を読んでいたら、友人からなんというかとても公共の場では口にだせないような、PCに抵触する五秒前なことを言い放ったメールがきたのでせいいっぱい侮蔑の返信をする。 件名:いや、君 本文:人として最低。 すぐに返信がくる。 件名:まあ、 本文:常識的に考…

何者か我に命じぬ割り切れぬ数を無限に割りつゞけよと(中島敦)

青山ブックセンターに川上未映子と市川真人(前田塁)のトークショーをみにいく。生で川上未映子の話しを聞くのは初めてなんだけど、なんだろう、凄い、この人本物だ。なんの本物だろう。呪われている。コトバに強く呪われている。なにか、ふっ、とでてきた…

目黒が、マグロと聞こえてマグロのサンマとはこれ如何に烏賊にあらずで怖い蟹、もうなにがなんだか、けふはわたしのたましひは疾んでをりますので烏さへ正視できないのです。

パソコンの文章データを整理していたら、数年前に屋久島へいったときの日記が見つかる。読んでいるうちに色々と思いだし懐かしくなりすぎて頭をかかえる。夏だった。とても暑かった。大垣夜行にのるため18時頃から品川駅のホームで延々電車を待ち、満員の電…

「それはつまり『終わりなき思春期を生きろ』ということですね!」「いや、ぜんぜん違う」

「考える人」2008年春号 特集海外の長編小説ベスト100を読んでいたら「私の海外小説ベスト10」というアンケートがあり、それに触発され自分の海外小説ベスト10を考えてみるが思えばまともに海外小説、というか翻訳ものにちゃんと触れるようになったのは20歳…

秋葉原にラビができたらラビ・アキバ。ユダヤ人もびっくり。

最近夜寝る前、布団に入り読みたいものを読んでいる最中眠気がきざしそろそろ眠ろうかと本を閉じるのだけど、なんとなく眠りにも落ちられずかといってさっきまで読んでいた本に戻るのも億劫な時、E.M.シオラン 出口裕弘訳『生誕の災厄』を読んでいる。なので…

角砂糖角(かど)ほろほろに悲しき日窓硝子唾(つ)もて濡らせしはいつ(山尾悠子)

ひょんな事からここ数年探していた歌集を手に入れる。山尾悠子『角砂糖の日』(深夜叢書社)。狂喜する。 山尾悠子に一冊だけ歌集があるという話をなにで知ったのか記憶も定かではなく、それを知った時も彼女の小説は好きで好きでそれはもう好きで国書の『山尾…

新旧こもごも

本屋で中村明日美子『同級生』と岡崎京子『東方見聞録』を購入。 男子校の合唱祭にむけての練習中、草壁はとなりの生徒が歌っていないことに気づく。少年の名は佐条利人。学年でも頭が良くて有名な生徒。教室に忘れ物をとりに戻った草壁は、佐条が一人で歌の…

やはりやすみは必要だ

最近ネットで知ったお店をさがしに神保町をぶらぶらと。しかしながらまったくのうろ覚えでいったため全然みつからず、細い路地を行きつ戻りつする。 ようやくそれらしいお店を発見するも、見かけがとても怪しい。ネット上で、怪しい見かけと書いている文章を…

やすみがなくなる

注文していた永田紅『歌集 ぼんやりしているうちに』がようやっと入荷したというのでいそいそと購入する。 配本がなかったのか知らないけれど、見てまわった範囲内でジュンク堂やその他、大阪屋を使っている書店には全然なく*1。注文したあとで日販系の書店…

わが名はタフガイル ソニックブーム! ソニックブーム!

何の気なしに来月の文庫の新刊をながめていると、光文社に次のタイトルを認め、口に含んだ茶を吹きだしそうになりおもいきりむせる。近くにいた人に怪訝な顔をされる。 「どうしたんですか?」 「いや、ちょっとびっくりして」・光文社文庫 カンタン刑 式貴…