2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ゆきゆきてスイング

書店にて棚の隅に一冊だけ置かれた『新装増補版 伊藤彦造イラストレーション』(河出書房新社)を見つける。1999年に出版されたものの新装版らしい。狂喜して購入。カフェに移動し、本を繰りながら一枚一枚の絵に見入る。それはもう嘗め回すように。その絵の…

Gone With the Money

ネットで買い物することを好まない私が、その本があるかどうか調べてみる気になったのは偶々というやつで、まさか見つかるとは思っていなかった。50年程前の本。非売品というわけではない筈だが*1、地方の人間が身内に配るためだけに作った本だと聞いていた…

<06/06/28追記>

下記の店主と私のやり取りの中に事実誤認があると、須永様ご本人から書き込みをいただきました。不確かな伝聞をそのまま書き込んでしまい、まことに申し訳ありません。須永様には深くお詫び申し上げます。詳しくはコメント覧をご参照ください。

最近ちょっと面白かった話 その4

荒俣 そう言えば、かつての鬼退治のグループもみんな水の一族ですね。安倍晴明にしても、渡辺綱をはじめとする渡辺党にしても、元来は水の民です。 小松 渡辺の一族は難波の、今の中の島あたりの出自です。そこから分かれたのが海賊の松浦党*1です。都では海…

最近ちょっと面白かった話 その3

今更ながらではあるが、宇月原晴明が山本周五郎賞を取ったらしい。めでたい。受賞作の『安徳天皇漂海記』を始めとして、この人の作品はどれも伝奇小説のある種の理想系なので、これを機に専業作家になって、もっと書いてくれないものだろうか。量産は難しい…

最近ちょっと面白かった話 その2

柴田元幸『愛の見切り発車』(新潮文庫)を読む。海外小説の紹介と、7人の海外作家へのインタビューが収録されている。僅々数ページでその本の読みどころを紹介し、読者をしてここで紹介されていて読んでいない本を求めて図書館ないしは書店へと走らせかけ…

最近ちょっと面白かった話 その1

太田俊穂『城下町盛岡遺聞』(大和書房)という本を読む。著者の故郷、盛岡に縁のある人物や在りし日の町の姿を描くその中に、興味深い文章を見つけ思わず小躍りする。 流泉小史という人がいたのだという。何でも岩手の産で長じて上京し福地桜痴、黒岩涙香、…