感慨深いなぁ……。

http://www.asahisonorama.co.jp/hp/whatsnew/readers.html

 朝日ソノラマが店じまいするという話を友人からのメールで知る。
朝日ソノラマ営業停止だと」
ラノベを牽引してきたソノラマも終わりですか。時代なんですかねー」
 老兵は、か。
 版権自体は朝日新聞社に移るらしいので、取り合えず『栞と紙魚子』『百鬼夜行抄』『チキタ★GUGU』辺りは安泰のようで安心する。
 それにしても感慨深い。思えばソノラマ文庫スニーカー文庫とかルビー文庫とか富士見ファンタジアとか電撃とかアニメージュ文庫とかスーパーファンタジー文庫とかスーパークエスト文庫とかなんかそういういわゆる今でいうところのラノベにどっぷりと浸かっていたのは1989〜1995の間くらいで、10年一昔というけれど早いなぁ。そういえば当時はラノベというような呼称は無く*1、『ソノラマ文庫』『スニーカー文庫』というような個々のレーベル名で認識していて、それらを一括りにして自分が読んでいるものがどういうものかという事は何にも考えていなかったような気がする。その中でソノラマ文庫と聞いて思いだすのはまず夢枕獏の『キマイラ・吼』シリーズ。夢枕獏はこのシリーズを読む前に角川の『遥かなる巨神』とか『悪夢喰らい』あたりを読んでいたのだけど、『遥かなる巨神』の中のタイトルは忘れたけど木蓮の花にまつわる幻想的な話が印象に残っているだけで、そういえば何で角川のものを読もうかと思ったかというと恐らくはその頃、横溝正史にはまっていたからのような気がする。『八つ墓村』を一週間かけて読み進め、最後のあの鍾乳洞のところは青森から帰る夜行バスの中で毛布に包まりながら常夜灯の下でそれはもう本当にドキドキしながら読んでいたその記憶は確かで、その鍾乳洞の場面の閉塞感と人が詰め込まれたバスの息苦しさと夜の暗さと窓にぼんやりと映る自分の姿とに自分が今、読んでいるものに深く触れているというような感じがしてひどく気が高ぶったのを覚えている。それからしばらく角川の文庫の表紙を取ったあの赤い色に親しみを覚え、角川文庫ばかりを読んでいたような記憶があり、恐らくはその流れで夢枕獏も読んだのだろう。
 それにしても『キマイラ・吼』シリーズには本当にはまった。私の爺さん萌えの遠因は絶対に真壁雲斎にある。あとは菊池秀行のデビュー作『魔界都市<新宿>』に始まって(そういえばネブカドネザル2世という名前を覚えたのはこの作品の二作目のおかげだった)『エイリアン』シリーズ、『吸血鬼ハンター"D"』シリーズ、単発モノの『インベーダーサマー』や『風の名はアムネジア』、異色クトゥルーものの『妖神グルメ』、更に楽屋オチというかその強烈なキャラクターで一世を風靡(?)した『外谷さん無礼帳』も面白かった。そういえば「アムネジア」の意味を知ったのもこの時だった。『ウエスタン武芸帳』は近所の書店に置いていなくて、当時は本を取り寄せるということが何故か嫌で取り寄せなかったのだけど、悲しい思いをした。他にもシリーズモノとしては朝松健『逆宇宙』シリーズ、『死闘学園』シリーズ、六道慧『大神伝』シリーズなんかも懐かしい。『大神伝』シリーズは洋物の神様の転生話だったけどそのあと読んだ同じ著者の富士見ファンタジアからでていた『羅刹王』シリーズでは五大明王の化身の美少年がでてきて『明王伝レイ』とか『孔雀王』が本当に好きだった私はそれだけでお腹が一杯になった記憶がある。
 この他にも加門七海『人丸調伏令』シリーズとか、嗚呼そういえばサムライトルーパーのノベライズから入って河原よしえも読んだなぁ、笹本祐一はなんとなく横目に通り過ぎて読まなかったなぁ、高千穂遥は他のレーベルの『神拳 李酔竜』シリーズとか『NORIEが将軍!?』シリーズは読んだのに何故か『クラッシャージョウ』シリーズは読まなかったなぁとか、竹河聖『奇妙(キュリアス)なモンスター』シリーズのヒロインは可愛かったなぁ一作目の短編集も良いし(博物館のミイラの前で男の子と遊んでいた女の子がわっかにした指を自分の眼に持っていって「眼鏡」とかやる場面があり、それがエジプトの「アンク」(だったかなぁ……)の形にそっくりだったためミイラが蘇ってしまう、という話があって、なんだかそれが強く印象に残っている)二作目の吸血鬼が出てくるのはちょっと赤川次郎っぽいところ(『魔女たちのたそがれ』『魔女たちの長い眠り』とか)もあった気がするなぁとか色々と思いだしてしまう。
 そういえば獅子てんや、瀬戸わんや(だったかな)というネタが何かにでてきた様な気もするのだけどこれは何だったかな。いや、懐かしや。

*1:無かったと思う、少なくとも身の周りでは聞かなかった、というか周りに本の話をする人間がいなかったというだけなのかもしれんが。大学に入ってはじめてジュブナイルとかヤングアダルトという名前を知り、その後ライトノベルという言葉を覚えたような気がする