2006-01-01から1年間の記事一覧

昼も短し布団が干せない

電話のたびに部屋が寒いとこぼしていたら実家の母が丹前を送ってくれる。さっそく着込む。もこもこに着膨れた姿で、何故かダンボールに一緒に入っていた番茶もいれてパソコンに向かう。とても温かい。いくつになっても母とはありがたいものであります。なむ…

吹きすさぶ風邪に体衰弱 

久しぶりに近所のブクオフへゆくとけっこう欲しいものがあったりして嬉しくなるのだけど、この間はエリアーデ『ホーニヒベルガー博士の秘密』(福武文庫)、宮本常一『日本の村・海をひらいた人々』(ちくま文庫)、平出鏗二郎『東京風俗志 上・下』(ちくま文庫)…

最近、面白かった本

入江亜季『コダマの谷 王立大学騒乱劇』(エンターブレイン) ヨーロッパの城塞都市を思わせる街を舞台にした学園モノで、飄々とした天才(メガネ)、クールな秀才、王子、その妃候補となる気の強い娘(ただしブラコン)、メガネに恋心を抱く少年のような女の子…

今日の出来事

約束の時間まで間があったのでいい加減のびてきた髪でも切ろうかと馴染みの美容室にふらりといったところ、予約のお客で一杯だとのこと。しょうがないので古本屋を冷やかすつもりが、一軒目で村松友視『鎌倉のおばさん』(新潮文庫)を購入。最近読んだ角田光…

こんな夢を見た。

生い茂る草々の向こう側にひときわ鮮やかな緑色の塊が見えた気がした。遠目に見るとそれは苔むした縄のようなものが幾重にも巻きついた井戸だとわかった。こんな山奥で井戸というのもおかしなものだと思い、草々を踏み潰し、背丈ほどにも伸びた蔓草を払いの…

オレは母ちゃんの肉奴隷じゃないっつうの 

過日、「イイダコを釣りにゆかないか」という友人の言葉に「はあ、別によいですけど」と応える。詳しい日時はまた後ほどという。数日後メールが来る。 「明日の午前6時集合ね」 「……それ私ゆけるんですか? いや、時間的に」 「調べたけど始発に乗れば余裕だ…

猿と影、あるいは陰。

『平澤家傳記』(内題『平澤氏家傳』以下『家伝』)によると、愛洲家は久忠の息子宗通の代に常陸国に移住し佐竹義重に仕えることになる。以下『家伝』からその項を引いてみる。 第二世宗通傳記 小七郎(原注初愛洲氏) 美作守 永正十六年巳卯生ス天文五年丙寅…

陰流と摩利支天

『摩利支天之ししやの事』という伝書がある。愛洲移香斎久忠の子孫、平沢家に伝わる(伝わっていた?)もので、末尾に「移香」とあるところから、愛洲移香斎久忠自身が記したものだと思われる。次のような文章である。 摩利支天之ししやの事一 からす 一 □た…

あらゆる贈与には、壮大な盗みが含まれている。ある人のすべてを貰い受けるとき、われわれはその人の物となる。

9日からだと思っていた近場での古本市がもう始まっていることを知り午後から出向く。いつものように文庫から見ていると、特設コーナーのようなところで、サンリオ文庫がやたらに安く置いてある。高いもので1000円台後半。安いものだと200円から。安い方を四…

色が白いは七生報国

先輩のブログを読んでいたら「THE MANZAI」というテレビ番組に登場した謎の三人組「トリオ・ザ・テクノ」について書かれていた。先輩は宮沢章夫『東京大学「80年代地下文化論」講義』を読んでその存在が気になり、「『それはうそだろう』と思われるものなが…

河よりも長くゆるやかにとは中々いかないというか。まあ、とっくに色々と過ぎているわけで。

顔を上げると驚いたような顔つきでこちらを見ている。きょとんとしている私に向かい彼は口にする。まさか、といった調子で。躊躇いながら。姓ではなく名前を。私の名前を口にする。今の交友関係の中に私を名前で呼ぶ人間は殆どいない。大抵は姓。でなかった…

哀悼の意を表する

http://www.yomiuri.co.jp/national/obit/news/20060805zz21.htm 今日、友人と飲んでいて宇山日出臣氏が亡くなった事を知る。あまりのショックに友人共々絶句。宇山氏が世にだした数々の本に影響され、それまでの読書傾向がぐにゃりと曲げられてしまった人間…

さいきんよんだ本から。

前田速夫『白の民俗学へ 白山信仰の謎を追って』を読んでいたら、こんな文章が眼に止まる。 能登、越前、若狭など、上陸地点に近い地域はもとより、大和への経路である近江一帯に、点々と渡来人の里がつらなり、そこでは多く十一面観音が祀られている。菊理…

平坦な戦場でぼくらが生き延びるための方法序説。あるいはreverse ageということ。

先日とうとう完結した村上もとか『RON―龍―』。最終巻となった42巻を電車の中で読んでいると、目頭が熱くなり、やがて視界が歪みだし、気づくと温かいものが頬をつたっていた。ついでに鼻からも。それはもうだらだらずるずると。我が事ながら驚く。というか気…

ゆきゆきてスイング

書店にて棚の隅に一冊だけ置かれた『新装増補版 伊藤彦造イラストレーション』(河出書房新社)を見つける。1999年に出版されたものの新装版らしい。狂喜して購入。カフェに移動し、本を繰りながら一枚一枚の絵に見入る。それはもう嘗め回すように。その絵の…

Gone With the Money

ネットで買い物することを好まない私が、その本があるかどうか調べてみる気になったのは偶々というやつで、まさか見つかるとは思っていなかった。50年程前の本。非売品というわけではない筈だが*1、地方の人間が身内に配るためだけに作った本だと聞いていた…

<06/06/28追記>

下記の店主と私のやり取りの中に事実誤認があると、須永様ご本人から書き込みをいただきました。不確かな伝聞をそのまま書き込んでしまい、まことに申し訳ありません。須永様には深くお詫び申し上げます。詳しくはコメント覧をご参照ください。

最近ちょっと面白かった話 その4

荒俣 そう言えば、かつての鬼退治のグループもみんな水の一族ですね。安倍晴明にしても、渡辺綱をはじめとする渡辺党にしても、元来は水の民です。 小松 渡辺の一族は難波の、今の中の島あたりの出自です。そこから分かれたのが海賊の松浦党*1です。都では海…

最近ちょっと面白かった話 その3

今更ながらではあるが、宇月原晴明が山本周五郎賞を取ったらしい。めでたい。受賞作の『安徳天皇漂海記』を始めとして、この人の作品はどれも伝奇小説のある種の理想系なので、これを機に専業作家になって、もっと書いてくれないものだろうか。量産は難しい…

最近ちょっと面白かった話 その2

柴田元幸『愛の見切り発車』(新潮文庫)を読む。海外小説の紹介と、7人の海外作家へのインタビューが収録されている。僅々数ページでその本の読みどころを紹介し、読者をしてここで紹介されていて読んでいない本を求めて図書館ないしは書店へと走らせかけ…

最近ちょっと面白かった話 その1

太田俊穂『城下町盛岡遺聞』(大和書房)という本を読む。著者の故郷、盛岡に縁のある人物や在りし日の町の姿を描くその中に、興味深い文章を見つけ思わず小躍りする。 流泉小史という人がいたのだという。何でも岩手の産で長じて上京し福地桜痴、黒岩涙香、…

電車にゆられて古本めぐり

四月最後の土曜日、昨年に引き続き谷根千で開催された一箱古本市にでむく。昨年は汗ばむほどの陽気だったのが、今年は家をでた瞬間から今にも泣きだしそうなお天気もよう。天気予報をみても降水確率50%の数字をだしている。これもなにかの丁半博打と傘をもた…

この季節になるとスピッツが聴きたくなるというベタなこの感性を笑われるかと思ったら、意外に賛同者が多くてちょっと嬉しくなる。「『スピカ』とか聴きたくなるんですけど」「『スパイダー』とか『ロビンソン』とかも聴きたくなりません?」「「なるなる」」と、盛り上がっている私たちを黙ってみていた友人が呆れたようすで一言。「お前らベタだな」 ちょっとヘコむ。

こんなイベントやこんなイベントがある事を、たまたま先週の金曜日に知る。その日のうちに、帰宅しながら電話をかけ予約する。帰宅後ネットに接続し、よく見るサイトをまわり、ふと思い、最近見ていなかった先輩のブログを見にゆく。驚く。件のイベントの事…

春じゃ春じゃと甘茶でかっぽれ

4月中旬という言葉を信じ本屋に日参する事はや4日。いい加減代わり映えのしない平台も見飽きた頃、ようやく今市子『百鬼夜行抄(14)』を手に入れる。早速、帰りの車内で読む。久しぶりに、降りる駅を3駅ばかり乗り過ごす。戻る電車はとても空いていていた。…

最近気づいたこと

本当は先週購入したよしながふみ『フラワー・オブ・ライフ (3)』がいかに素晴らしかったかを書くつもりだったのに一瞬で挫折する。それも悔しいので頑張って書いてみるに、どれだけ素晴らしかったかというと、それはもう、例えば先週の日曜の午後3時過ぎ、新…

恩田陸『チョコレートコスモス』を読む。

天才的な演技力を持つ少女、芸能一族に生まれついた努力派少女、新しい劇団を立ち上げたばかりの若い劇作家、そしてベテランの劇作家という登場人物がいかにも某漫画を思わせるのに加え、少女の天才的な能力に曽田正人『昴−スバル−』を想起してしまい、映画…

願わくば花のしたにて春にラムそのお花見の盛りあがりしころ

過日、友人宅にて花見の宴を催す。ラムは無かったし羊肉も食べられなかった。その代わり日本酒をかぷかぷと。花見自体は夕方過ぎからだったのだけど、準備を手伝うためお昼に出向く。友人と落ち合い買出しへ。途中、エイプリルフールだという事で、皆で色々…

『野獣死すべし』を観ながら松田優作とにらめっこ。先に瞬きした方が負け。全敗。

こんな夢を見た。 暗い海がひろがっている。湿り気をおびた生暖かい空気が流れている。白い波がゆっくりと踊っている。遠くの方で何か動いた、と思うと、それはぷかりぷかりと波間から姿を見せながら、ゆっくりと波打ち際まで近づいてきた。やがて現れたのは…

『春樹をめぐる冒険―世界は村上文学をどう読むか』に出向く。

東大の構内にはテントが乱立していた。常態なのだろうか、それとも新歓の準備なのだろうか。あそこで夜を明かせたりするのだろうか。だとすれば羨ましい話だ。我が母校はその点、非常につまらなくなった。新歓といえば一大イベントだったのに、とそんな話は…

植芝理一『夢使い』が映像化されることに私は満腔の喜びを表すものである。

しかしあれを映像化して大丈夫なのかという疑念は拭い難く生じる。深夜枠だから別に大丈夫なのか。そういうものなのか。本当か? http://www.yumetsukai.com/