電車にゆられて古本めぐり

 四月最後の土曜日、昨年に引き続き谷根千で開催された一箱古本市にでむく。昨年は汗ばむほどの陽気だったのが、今年は家をでた瞬間から今にも泣きだしそうなお天気もよう。天気予報をみても降水確率50%の数字をだしている。これもなにかの丁半博打と傘をもたずにでかける。二時間後とても後悔する。友人と西日暮里の駅で待ち合わせ古書ほうろうについたのが13時。店の前にひろげられた箱を覘きみながら店内に入る。とりあえず一冊購入。そのまま不忍通りをすすんでいたところポツリとくる。やがて、ポツリがポツポツ、ポツポツがパラパラにかわりはじめる。これは流石にたまらんとドトールに避難し作戦会議。せっかくきたからには中止になるまでみてまわろうということになり、そのままオヨヨ書店まで出店をながめながらぶらぶらとする。オヨヨ書店で二冊購入。途中参加の友人を根津の駅でひろい、そのまま裏通りに入ってゆく。どちらの友人もこのあたりははじめてだとのことで、みるものみな珍しいのかあたりをキョロキョロと。ギャラリーKINGYOで欲しい本をみつけたので値段を確認しようとすると、スタッフの方の「中止になります」という声がきこえる。確かに雨ももうざんざぶりで、そろそろ限界かとこちらも思っていたのだけれど非常に残念。結局、ここで一冊購入し今年の一箱古本市はおわってしまった。さて、どうしたものかと話しながらぶらぶら歩く。帰りますか? いやいや雨の中の散策もまた乙なものと、頂いた不忍ブックストリートMAPを片手に歩きつづける。昨年もいった喫茶店、花歩まであるき、ひとやすみがてらお茶をする。そういえばあとで知った話なのだが、どうやら花歩の前にでていたお店(箱、というべきなのかな?)が吉田健一とか獅子文六をおいていたらしい。私たちが着いた頃には当然もう撤収していた。非常に悔しい。ああ、はじめに寄るんだったと一頻り切歯扼腕。それにしてもぶらぶらと散歩がてらみるのも楽しいけれど、来年は参加申し込んでみようかな、と友人と話す。

 箱の中もあまりみられず、急ぎ足になってしまい売り主さんとコミュニケーションをはかれなかったのが一寸残念だった。


 結局、以下のものを購入。

 この二冊、昔、後輩(多分)に貸してそのまま結果的にというかなし崩し的にあげた事になってしまったやつ。実はまだ読んでいなかったので購入。読んでいないやつは貸すもんじゃないな。あとで戻ってこないと悲しくなる。

 他に、

を購入。


 その二日後、つまり今日。かねてより先輩にお願いしていた中央線の古本屋めぐりを実行する。計五時間強にわたって高円寺、荻窪西荻窪をぐるぐるとまわる。先輩も私も店に入ると二手に別れ店内ですれ違っても声一つかけないのはなにやら気恥ずかしいからかと思いながら、棚の一つ一つをつぶさに見て回る。先輩からは「あまり買うつもりはないので持ち合わせを少なくしてきた。万が一僕が買いだしたら止めるように」というようなことを仰せつかったのだけど、止める間もなく相互不干渉のうちに多分私よりも使っていたと思う。あとで落ち込んでいた。だから財布預かるっていったのに。とはいっても私も今回は場所を知るためだけのつもりで、あまりお足は多く持ってこなかったのにそこそこ使ってしまう。まあいいや。それにしても店の多さよ。棚の充実振りよ。先輩によると、品揃えも良くて回転も良いのだという。おまけに深夜までやっている店も珍しく無いという。まことに羨ましい環境。いただいた『おに吉古本案内』という小冊子に穂村弘が「中央線の沿線には遅くまでやっている良い古本屋が多くそのために引っ越してきたようなもの。日本広しといえども夕御飯を食べた後、散歩しながら古本屋を回れるような町がどれだけあるだろうか」というような事を書いていたのだけど、本当にそう思う。私も一瞬、ここへ引っ越してきたいと心がぐらりとゆれてしまった、というかゆれつづけている。困った。
 先輩には案内していただいたうえに、珈琲とケーキまでご馳走になってしまう。いやほんと良い先輩や。持つべきものは本好きの良い先輩だとの思いを新たにするも、よく考えたらまわりには良いか悪いかは別として本好きの先輩しかいないのだった。何だか選択の余地があまりない。何だか面白くないなと思うも、そういうものでもないか。


 結局以下のものを購入。

 さすがに疲れた。