この痛みにきっと意味はない


 ペペロンチーノを作るため大蒜と唐辛子を刻んでいると左瞼に痒みを覚えたので、刻む手を止め何気なく瞼を擦ったところ僅かに指先が目の粘膜に触れる。次の瞬間、猛烈な熱さが眼球を覆いつくす。中学の頃、友人と賭けをして負け、目の下に塗られたキンカン*1が目に入った時以来の激痛に悶絶し台所でのた打ち回る。ムスカの真似をする余裕もなく思わず包丁を取り落とす。その下に足があったのは不運としか言いようが無い。僅かに切っ先が甲に食い込む。痛い。思わず傷口に手を伸ばす。進入してきたカプサイシンに絶叫する。もういやだ。ペペロンチーノは美味しかった。

*1:メンタムだったかもしれない。いずれせよこの世にこれほどの痛みがあるのかと思うくらい痛かった。