何を見ても何かを思い出す。

 過日、爆笑問題の番組を見ていたら古川日出男がでていた。古川が語る創作の秘密、というような内容で、散歩をしながら妄想の世界を歩き、それが作品を生みだしてゆくのだという。普段、散歩をしながら何を考えているかを、スタッフがその散歩に同道し話を聞いていたのだけど、その妄想力は凄かった。公園の滑り台で遊ぶ少女を見て、そこから一つの区をまきこむ『滑り台戦争』という話を想像し、「すぐに書けますよ」と言っていた。この人は全身小説家だと思った。
 ところで、少女が遊んでいた公園。そこを見てちと驚いた。学生時代よく花見をしたところだった。少女が滑っていた滑り台は、昔、花見の最中、酔っ払った一年生が何事かを叫びながら、逆走して這い登ろうとしたやつだった。止めるの、無茶苦茶大変だったなぁという事を思いだした。そして、古川日出男綾小路きみまろに似ていると思った。誰も賛同してくれない。