一言書きたかっただけなのに思いのほか長くなってしまった。やはり私は文章が下手だ。少し落ち込む。


 久しぶりにB’zを聞いていて、『恋心(KOI-GOKORO)』(歌詞)に胸が疼く。
 片思いの切なさを通して大人になる事への焦燥と不安を描きながら、ただのリリシズムに陥るのではなく「いま」を生きることの疾走感を描き出す名作だと思う。この歌詞の良さは、リアルタイムで進行している片思いを描くだけかと思いきや、


どうしよう うまくいかない恋 こんなとき もっと大人になりたい
だれもが悩んだことなのか まったく せんせい つよく
抱き合った仲間ともいつかははなれていくかもしれないけど
二度とは戻らない時間を 笑って 歌って ずっと


 と、青春の離別への不安を描き出し、さらに「いま」と「あの時」の思いを時間を越えて上手く描き出しているところにあるように思える。

「つよく抱き合った仲間ともいつかは、はなれていくかもしれないけど、二度とは戻らない時間を笑って歌って」は、「いま」の時点から「あの頃」を振り返っているようにも見えるけど、私は、この部分は「あの頃」の時点での「いま」を歌っているように思える*1
 要するに回想された過去ではあるのだけど、「いま」から振り返って、昔はこうだったなと思っているのではなく、「あの頃」をそのまま描きだしているというか。「あの頃」というからには振り返る「いま」との関係で「あの頃」なわけだけど、ここでは過去の進行形としての「いま」の気持ちを描いているみたいな。
 只管に仲間と騒ぎ、はしゃぎ、悩み合い、強い感情の中で揺れ動いているのだけど、同時に頭の片隅に「結局こんな時間は今だけで、いずれ皆こんな頃があった事は忘れていくのだろうな」という冷めた意識があり、その事に、つまり、みんな別れてしまうのかもしれないという事と、そんな風に感じてしまう自分の感覚に「しょうがないか」と諦めを感じながらも、でも、一抹の寂しさも覚え。で、そんな諸々の感情を抱えた上で、冷めているのではなく、「二度とは戻らない」「いま」という時間の一回性をただ懸命に楽しもうという意識を持とうと決意しているような感じを、私はこの歌詞から感じ取り、そんな風に思わせてくれるこの歌詞はとても良いなぁと思う。

さらに、


忘れない いつまでもあの恋 なくさない胸をたたく痛みを
汗かき 息はずませ走る 日々はまだ 今も 続く


 生きられていた「いま」が一転して過去となり、それを振り返りながら、それでもまだ「あの頃」の思いを生き続けるんだという、決意のようなものが伺えられ、そこが良いなぁ、と。


 で、結局今回久しぶりに聞いたこの歌のどこに心揺り動かされたかというと、この部分。


こんなとき もっと大人になりたい


 歌を聞く少し前、最近してないけどできるかなと部屋の中で逆立ちを試み失敗。積んであった本の山に倒れ込み、思い切り背中を打ち付けたので。心に響きました。


 そういえば、ここで歌われているのは「少年」と成長した「男性」なのだろうけど、「少女」と成長した「女性」の歌だと見ても中々に面白いような気もする。

*1:勿論、この歌を聴いている人に向けて語りかけているのならば話は別。その場合、語りかけられている対象へのメッセージのようにも見える。というか、この歌詞は「せんせい」までがモノローグでそれ以後「つよく」から「歌って」までが相手に向かって語りかけ、またモノローグに戻るようにも見える、かな。